#36 ドイツ・ブンデスリーガの最新ゲーム分析~チーム成績と技術およびランニングパフォーマンスとの関係~ ★最新論文

エビデンス紹介

これまでのコラムにて,ゲーム内容の時代変化(シーズンごとの変化)を明らかにしたエビデンスを紹介しました(#28, 29, 30, 34).それらのエビデンスにより,サッカーがどのように変化し,どのような動きや技術が増減しているかがわかってきています.

それでは,ゲーム中の動きや技術はどれほどチームの成績と関係があり,また,どの動きや技術がチームの成績と強く関係するのでしょうか.

最近,ドイツ・ブンデスリーガのリーグ戦の成績と技術およびランニングパフォーマンスの関係を明らかにした研究が公表されましたので,その論文を紹介いたします.

文献

Analysis of team success based on match technical and running performance in a professional soccer league, BMC Sports Sci Med Rehabil, 5;14(1):82, 2022.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35513858/

研究内容

ドイツ・ブンデスリーガの2017/2018および2018/019シーズンの612試合のデータが分析されています(対象者は461人).

試合分析システムを用いて,技術パフォーマンスとランニングパフォーマンスに関する多数の項目が分析されています.
※スプリントは22.68km/h以上と定義されています.

主な結果は以下の通りです.

下表はシーズンの勝ち点と各パフォーマンス変数との関係を示しています.相関係数が±1に近いほど関係が強いことを示します.

多くの技術およびランニングパフォーマンス変数とチームの成績(勝ち点)との間に有意な関係が認められています.

正の相関係数が高い項目(r>0.7)には,「得点,アシスト,ボール保持率,成功パス(オープンプレー),ボール保持時の総移動距離,GKのセーブ」があります.

負の相関係数が高い項目(r<-0.7)には,「被枠内シュート,失点,ボール保持でない時の総移動距離」があります.

※なお,論文内では順位別(ハイランク,ミドルランク,ローランク)の比較もしていますが,ここでは割愛いたします(上記の相関分析で傾向は把握できると思います).

まとめ

・世界トップクラスのリーグのゲーム分析が行われ,多くの技術およびランニングパフォーマンス変数がチーム成績と関係することが明らかになっています.
・相関係数の高い項目を中心に,チーム成績との間に関係が認められた項目をご確認いただき,今後のトレーニング方針・計画の参考にしていただければと思います.
・ボール保持率,成功パスがチーム成績と強い相関がありますので,正確なパスを用いて,ボール保持率を高めることの重要性を再認識できるかと思います.
・他の研究でも高強度プレーが増えていることが明らかになっていますが(コラム#28,#29),この研究においても,攻撃時のスプリント回数,スプリント距離,最大スピードなどの高強度プレーがチーム成績と関わっています.高強度プレーの向上は今後も必須になると思われます.
・GKのセーブとチームの成績との相関係数が高くなっており,この論文の考察にも,GKが非常に重要であると述べられています.GKの発掘・育成には日本も一層注力していく必要があるように思います.

文責:松田

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