#3 サッカー選手はシーズン中も筋トレをすべきか? また,どれくらいの頻度が必要か?

エビデンス紹介

サッカー選手はシーズン中,試合が多くなるため,筋力トレーニングを行う機会が少なくなると思います.シーズンオフの期間は筋力トレーニングを頑張っても,シーズン中は全く行わないという選手もいるのではないでしょうか.

サッカー選手はシーズン中も筋力トレーニングを行ったほうが良いのでしょうか.また,どれほどの頻度の筋力トレーニングが良いのでしょうか.ここでは,シーズン中に週1回筋力トレーニングを実施した群と2週間に1回筋力トレーニングを実施した群のフィジカルパフォーマンスの変化を比較したRonnestad et al. (2011)の研究を紹介します.

Ronnestad B et al. (2011) Effects of in-season strength maintenance training frequency in professional soccer players. J Strength Cond Res, 25(10), 2653-2660.

この研究では,男性プロサッカー選手14人が対象なっています.14人を週1回筋トレ群7人(週1回群,平均22歳),2週に1回筋トレ群7人(2週に1回群,平均26歳)に分けています.

トレーニング種目は,ハーフスクワットのみです.シーズン中において,週1回群はハーフスクワットを週1回行い,2週に1回群はハーフスクワットを2週に1回行っています.

両群ともプレシーズンに週2回×10週間のハーフスクワットの筋力トレーニングをを実施しています.10週間のプレシーズンの筋力トレーニングの結果,筋力(1RMハーフスクワット),40mスプリント,スクワットジャンプは有意に向上していました.

インシーズンの12週においては,週1回群は筋力と40mスプリントを維持していましたが,2週に1回群では筋力は10.0%低下し,40mスプリントは1.1%低下していました(統計的に有意な低下).スクワットジャンプとカウンタームーブメントジャンプは両群とも変化はありませんでした.

結論としては,サッカー選手がシーズン前の筋力トレーニングにより向上させた筋力やスプリント能力を維持するためには,シーズン中においては2週に1回の筋力トレーニングより週1回の筋力トレーニングのほうが良いという結果となります.

【見解】
・筋力トレーニングを完全に止めてしまうと,プレシーズンで向上させたフィジカルパフォーマンスを維持できない可能性が高いと考えられますので,サッカー選手も可能な限り,シーズン中も筋力トレーニングを継続したほうが良いと思われます.
・様々な観点(選手の状態,疲労度,試合の頻度等)から判断する必要はありますが,フィジカルパフォーマンスを維持するための頻度としては週に1回くらいは継続したほうが良いと思われます.

※第1回勉強会(2021年10月20日)にて議論した内容になります.

(文責:松田繁樹)

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